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以下は、2014年、異星人ペドラーの来訪と「交易によるテクノロジーの提供」の開始を受けて設立されたアメリカ合衆国大統領行政府(EOP)の諮問機関・異星由来技術調査委員会が、その設立に際して行った記者会見における質疑応答の一部を抜粋したものである。
※出展:サグスニュース・エグゾフレーム・アーカイブズ

R・グレイ(ニューヨーク・ガゼット紙)

つまり、人類の技術を遙かに超えた全長2メートルの人型のロボットを異星人は百ドルにも満たない量の石灰岩と引き換えに地球にばらまいている、ということですか? 到底、交易として釣り合いが取れているとは思えない。彼ら異星人は、一部ではペドラー(Peddler:行商人、交易人)と呼ばれているそうですが、その目的は交易以外の別なところにあるのでは?

E・オブライエン(フランシス・バーチ地質研究所)

石灰岩の起源は大きく分けて生物の遺骸を起源とするものと海水が化学的に沈殿してできたものという二つの説がありますが、いずれも地球という惑星の固有な環境から生まれた資源である可能性が高いと言えます。我々にとってはありふれたものであっても、異星人からすれば大変貴重な物質であることは充分に考えられます。

A・ルーニー(NBS「24h line」)

それはあくまで推測ですよね。異星人とのコミュニケーションについて委員会はどうお考えで?

K・S・ブルックス(バークレーSETI(地球外知的生命体探査)リサーチセンター)

NASAのディープスペースネットワークを利用する通信プロジェクトをはじめ、国連宇宙平和利用員会の監督する「地球外生命体に対する通信条約」にもとづいて、各国政府、各種民間団体から個人まで、さまざまなレベルで彼らへの呼びかけが行われていますが、残念なことに今の所、返答は一切、確認されていません。しかし、彼らが我々に「交易」を呼びかけてきたことからわかるように、彼らが我らの言語を理解し、また経済活動という概念をもっているわけですから、コミュニケーションは可能だと考えていますし、今後も呼びかけを継続していきます。

K・ユルガー(VTメディアニュース)

ペドラーから提供されたロボットは、人間そっくりの形だし、実際、人間が操縦することが可能です。これは、異星人もまた、我々と同じような姿、形をもった生物であることを意味するのでしょうか?

O・スニル(NASAエイムズ研究所)

そうした考えは早計と言えます。あのロボットは、我々の言語を解析したのと同様に、人類の身体についても調べ上げた上で、最初から我々に向けて作り出されたものである可能性もあります。いずれにせよ、今後も一切の予断を排し、異星人由来のテクノロジーのみならず、異星人そのものについても調査研究を行っていく考えです。

J・ウォン(キャピタル・ポスト・オンライン)

異星人との交易が開始されて以来、世界各国で石灰岩の価格が高騰していますし、産出地も投機的な売買の対象になっています。このまま石灰岩が枯渇したり、あるいは建築などの用途に供給されるそれが不足する事態も起こりえるのでは?

E・オブライエン

おそらくありえないでしょう。世界全体の石灰岩は、アメリカ地質調査所も非常に多いとしています。これは無尽蔵とは言わないものの、可採埋蔵量だけでも人類が相当長期間困らない量という意味です。価格の高騰は一時的なものに留まるでしょう。

S・ホルヘス(サグスニュース)

逆に言えばですよ、異星人がどれだけ在庫を持ってるかしりませんが、地球はそれを全部買い取れるわけですよね。さっきの発表にあったとおり、異星人のロボットはバイクや軽自動車のかわりにもなるし、小型の重機の代わりにだってなる。操縦だって簡単だ。そんなものが、タダみたいな値段で地球にあふれたら、既存の自動車メーカーや建設機械メーカーは大打撃じゃないですか?

R・リン(アメリカ国立科学財団)

ご存じのとおり、異星人からのコンタクトの後、株式市場は世界規模で乱高下を続けていましたし、自動車メーカー、建設機械メーカーは、なかでもその影響を大きくうけました。ですが、現在では市場には希望的観測が広がりはじめています。というのも、重要なのは彼らのもたらしたエグゾフレーム……私たちが提唱している彼らのロボットに対する呼称です……ではなく、そこに使われている異星人の未知の技術なのです。これを解析することができれば、人類には大きな恩恵がもたらされることは確実です。長期的には、我々は異星人に頼ることなく、より我々のニーズにあった異星技術由来の機械を、みずから製造することも可能になるでしょう。ですから、そうした混乱は、あくまで一時的、短期的なものに留まると我々は予想しています。

S・ホルヘス

リバースエンジニアリングですか? しかし、解析した技術を地球人が使うのは異星人の権利を侵害するのでは?

R・リン

異星人が自らの技術にどのような権利の意識を持っているのかは不明です。彼らと交渉ができれば、あるいはライセンス契約のような形が取れるかしれませんが。

A・イースト(全米経済研究所)

私からも補足させてください。経済というのは、けして単純なゼロサムゲームではない。南北格差といった問題に象徴されるように、世界にはいまだ解決されない貧困があり、いまだ畜力・人力に頼った農業が行われた地域も多く、インフラが未整備の地域では子供たちが水くみのために十キロを超える距離を歩かなければならないことさえある。エグゾフレームの恩恵を最大限に受けるのは、先進国よりも、まずこうした地域の人々に他なりません。これが、人類社会に蔓延る貧困と戦うための力となってくれると、私は期待しています。

W・シングルトン(キャピタルヒル・ニュース)

異星人のロボットの操作は人間の脳波を読み取って行われると言うことですが、人体への悪影響などは存在しないのですか?

M・トーマス(MITマクガヴァン脳研究所)

具体的な被害は報告されていないものの、長期的な使用にあたっての影響については当然ながら断言できません。その上で、ひとつ訂正させて頂きたいのは、エグゾフレームが読み取っているのはどうやら脳波などという単純なものではないのです。これは、遷延性意識障害――大脳に重度の障害を負って昏睡状態にある患者にもエグゾフレームが反応したことからも明らかです。エグゾフレームは我々の意識……今の所は、便宜上そう呼ぶほかない何かに反応している、としか言い様がありません。逆に言えばこれは、エグゾフレームは単なる乗り物や建築機械にとどまらず、医療の分野でも応用が期待されるということです。

(中略)
T・タカハシ(日協通信)

エグゾフレームに様々な可能性があるのはわかりました。では、この素晴らしい技術の産物が、軍事的に利用される可能性はないのでしょうか……?

J・M・キャンベル(議長)

それは……、エグゾフレームを兵器として運用すると言うことですか?

E・エルトン(RAND研究所陸軍アロヨ・センター)

技術は脅威的ですが、兵器としては、現用兵器の脅威とはならないでしょう。軍事目的での利用は限定的なものに留まらざるをえません。つまり……宇宙人のテクノロジーをもってしても、あなたの国のアニメーションを実現することは不可能なようです。

(会場、笑いに包まれる)